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系統用蓄電池は農地・遊休地に設置できる?土地条件と農地転用を解説

「使っていない農地や遊休地に、系統用蓄電池を設置できないか。」
そのように考える土地所有者、投資家が増えています。
農地や遊休地でも、面積・接道・系統連系・法令上の制限といった条件を満たせば、系統用蓄電池の設置候補になり得ます。

ただし「面積が広い=設置できる」というわけではありません。送配電網の空き容量や工事車両の進入可否、災害リスクに加え、農地の場合は農地転用や農振除外といった手続きが関係する場合があります。今回は、土地条件の見方から手続きの流れ、契約前の注意点について、解説させていただきます。

 

1.系統用蓄電池「土地条件」セルフチェック

系統用蓄電池用地として、合致するかどうかは、まず以下の4つの視点が基本となります。最終的な判断は事業者による現地調査と電力会社への接続検討を経て行われますが、事前の目安としてご活用ください。

 

●面積・形状

必要な面積は、蓄電池の設備容量やコンテナの配置計画によって異なりますが、高圧の系統用蓄電池では、「250坪程度」から検討されるケースもあります。平坦で形状の整った土地ほど設計の自由度が高く、狭小・変形地は工事費・造成費などの増加につながる場合があります。

 

●接道・アクセス

コンテナ型蓄電池や受変電設備は大型車両で搬入されるため、前面道路の幅員や強度、進入路・転回スペースの確保が実務上の条件となります。運転開始後も保守車両の進入が継続し、私道を通行する場合は通行承諾が必要になる場合があります。判断基準は事業者・自治体により異なるため、個別の確認が必要です。

<主な目安(コンテナ型蓄電池の場合)>
前面道路の幅員:4m以上(6m以上が理想)
進入路の間口:6m以上
※蓄電池メーカーごとに、設備の大きさが異なる為、条件が変わる場合がございます。

 

●送配電網の「空き容量」

設置可否を左右する最重要ポイントは、送配電網の「空き容量」です。変電所や配電線までの距離が近いことと、接続できることは同義ではありません。距離が近くても空き容量がなければ接続できず、逆に距離があっても空き容量があれば接続の可能性があります。空き容量の有無は、事業者が電力会社(一般送配電事業者)へ接続検討を申し込んで確認するもので、地図や地形だけで判断できるものではありません。

 

●立地制限(土砂災害警戒区域、自治体条例等)

土砂災害警戒区域や洪水ハザードは自治体のハザードマップで確認でき、警戒区域内では設置が制限される場合があります。また自治体によっては景観条例や蓄電池設置に関する独自の条例・手続きを定めている場合があるため、所在地の役所への確認が必ず必要になります。

以下確認事項を一覧にまとめます。

 

確認事項内容注意点
面積・形状設備容量・配置計画に見合う広さ、平坦性、形状必要面積は設備規模により異なる。メーカー製品により、条件が異なる。
接道前面道路の幅員・強度、大型車両の進入・転回スペースコンテナや重機の搬入可否。私道の場合は通行承諾が必要な場合あり。
系統連系変電所・配電線の位置、送配電網の空き容量距離が近くても空き容量がなければ接続不可。接続検討は事業者が電力会社へ申し込む。
地盤・災害地盤の安定性、土砂災害警戒区域、洪水ハザードハザードマップで確認。警戒区域では設置が制限される場合あり。
周辺環境近隣住宅との距離、景観への影響パワーコンディショナー・空調設備の稼働音への配慮。近隣説明の要否。
法令・条例農地法、都市計画法、自治体の条例自治体独自の条例・手続きの有無は所在地の役所へ確認

 

2.農地区分(甲種・第1種・第2種・第3種農地)の違い

農地転用の許可審査では、農地の優良性や周辺の市街地化の状況に応じて農地が5つに区分され、区分ごとに許可方針が異なります。土地がどの区分に該当するかは、市区町村の農業委員会に照会して確認できます。

 

確認事項内容注意点
農用地区域内農地(青地)農業振興地域の整備に関する法律に基づき、市町村の農業振興地域整備計画で農用地区域とされた農地原則として転用は許可されない。転用には事前の「農振除外」が必要。
甲種農地市街化調整区域内にある、特に良好な営農条件を備えた農地(おおむね10ヘクタール以上の集団的農地や、土地改良事業完了から8年以内の農地など)原則として不許可。例外的に許可される場合あり
第1種農地良好な営農条件を備えた農地(集団農地、公共投資対象農地、生産力の高い農地など)原則として不許可。例外的に許可される場合あり
第2種農地市街地化が見込まれる区域内の農地(駅・役場の近く、住宅等に隣接する小規模農地など)周辺の他の土地で目的を達成できる(代替性がある)場合を除き許可される
第3種農地市街地の区域内、または市街地化の傾向が著しい区域内の農地原則として許可

※農地区分は農地法の転用許可における「立地基準」の区分です。一方で、「青地」かどうかは農業振興地域の整備に関する法律に基づく別制度であり、除外には農地転用許可とは別の手続き(農振除外)が必要です。

 

3.実務の流れ

一般的には以下の流れで検討が進みます。なお、電力会社への接続検討の申込みや農地転用申請書類の作成などは、事業者や販売施工会社などが主導・代行するケースが多く、地主がすべての申請を自分で行うわけではありません。

 

【ステップ①】土地の簡易調査(系統空き容量・農地区分の確認)
公図・ハザードマップ・農地区分・系統の公開情報などをもとに、土地の設置適性を簡易的に調査します。事業者・販売施工会社が無料の簡易査定を実施することが多いです。

 

【ステップ②】電力会社への接続検討・農地転用の事前相談
有望と判断された場合、事業者や販売施工会社などが電力会社(一般送配電事業者)へ接続検討を申し込み、空き容量や工事費負担の見通しを確認します。並行して、農地転用が必要な場合は農業委員会への事前相談が行われます。なお、接続検討には1件につき20万円+税の検討料が必要となります。

 

【ステップ③】農地転用許可申請・必要に応じて開発許可の取得
農地の場合は、農業委員会を経由して農地転用許可申請を行います。面積や立地によっては都市計画法に基づく開発許可や自治体条例の手続きが必要となる場合もあります。

 

【ステップ④】契約締結(売買等)と着工・系統連系
転用許可・系統接続の見通しが立った段階で、土地契約を締結し、設備の設置工事を経て系統に連系、運転(充放電)開始となります。

 

4.主な注意点とリスク

●送配電網の空き容量不足により事業化に至らない可能性がある
接続検討の結果、系統に空き容量がなく、事業化に至らない可能性があります。接続可能な場合でも、工事費負担金が想定より大きくなるケースがあります。事業化できなかった場合の契約の取り扱い(解約条項の有無など)を事前に確認する必要があります。

 

●パワコン・空調設備の稼働音への配慮と近隣説明
系統用蓄電池には、パワーコンディショナーのファンや空調設備の稼働音が発生します。設備によっては85デシベル程の大きな稼働音が発生します。
(85デシベルのイメージは、走行中の電車内、救急車のサイレン、パチンコ店内です)
近隣に住宅がある場合は、防音壁の設置や機器配置の工夫などの対策と、事前の近隣説明が重要になります。

 

いかがでしたでしょうか?
系統用蓄電池は、国の電力インフラを安定化させる重点テーマであり、今後も開発が広がっていく見通しです。

他方、今回ご紹介させていただいた通り、「土地の条件」や「送配電網の空き容量」など、どのような土地でも設置できるものではございません。

弊社では、初期段階から電力会社への事前確認など、土地に関する事前調査を実施しております。

遊休地等の売却をご検討されている方は、お気軽にお問合せください。

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