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2026年4月使用分の電気代から、日本のあらゆる企業・家庭において値上げが始まりました。
これまでも、電気代高騰は重くのしかかってきましたが、今回の値上げは過去の燃料費高騰の影響とはやや異なります。
今回の値上げは、主に「政府補助金の終了」と「容量拠出金の引き上げ」による増加です。
直近の動向を紐解きながら、今後の見通し、そして企業が着手すべき具体的な対策について解説します。
1.電気代の現状
多くの企業から「数年前に比べて電気代が1.5倍〜2倍になった」と伺いますが、一過性ではなく、もはや常態化しつつあります。まずは現在の電気代の基本を整理しましょう。
■電気代を構成する4つの要素
電気代は、基本的に以下の4つの要素で構成されています。それぞれの特性を理解することが、コスト管理の第一歩です。
| 構成要素 | 内容 | 動向 |
| ①基本料金 | 契約電力(kW)に応じて毎月固定発生 | 容量拠出金の転嫁により上昇傾向 |
| ②電力量料金 | 使用した電力量(kWh)に応じた基本費用 | 高止まり傾向 |
| ③燃料費調整額 | LNG・石炭・原油の輸入価格変動を毎月反映 | 中東情勢次第で急騰リスク |
| ④再エネ賦課金 | 再エネ普及のため全需要家が使用量に応じて負担 | 2026年度は過去最高の4.18円/kWh |
■2022年以降の「燃料費高騰」からの構造変化
2022年のウクライナ紛争で、燃料費調整額は高騰しました。
例えば、高圧・特別高圧で契約している工場や大型商業施設、オフィスビルでは、毎月の支払いが数百万から数千万円規模で増加し、利益が無くなってしまった企業も出ました。
その後、2024年から2025年にかけて、落ち着きを見せましたが、「元の安い水準に戻った」わけではありません。燃料費は下がりましたが、円安、再エネ賦課金の増額などにより、電気代のベースが高止まりしているのが現状です。
2.政府補助金の終了
2026年4月からの値上げ要因の1つは、「電気・ガス料金負担軽減支援事業」の終了です。
2023年から断続的に実施されてきた補助金が今年の1月から3月まで出ていました。

その後、エネルギー価格が落ち着きを見せたと判断され、2026年3月使用分(4月請求分)をもって終了となりました。
長引いてきた補助金により、多くの企業が「値引きされた後の金額」を、現在の自社の標準的な電気代だと錯覚する「補助金慣れ」があるのも事実です。
今一度、自社の電気代の請求書を取り出し、「補助金控除前の金額」を確認してみましょう。
3.容量拠出金の引き上げ
もう1つの値上げ要因は、「容量拠出金」の引き上げです。専門的でわかりにくい言葉ですが、これからの企業の電気代を考える上で理解しておくべき内容です。
まずは、容量拠出金が関係する「容量市場」から解説します。
■「容量市場」とは何か?
これまでの電力取引は、主に「発電された電気そのもの(kWh=電力量)」を売買するものでした。しかし、太陽光や風力といった再エネ電源が増加する中で、新たな火力発電所を作っても採算がとりにくくなり、発電所の新設が抑えられるようになりました。しかし、太陽光や風力の電源は発電量が変動するため、電力が足りなくなるリスク(需給逼迫)が高まりました。
そこで、いざという時に「発電できる能力(kW=容量)」に対して、対価を支払う仕組みとして創設されたのが「容量市場」です。
発電事業者は、数年先の発電能力を容量市場で提供することで、固定収入を得ることができ、老朽化した発電所の維持や新たな投資を行いやすくなります。これにより、日本全体の停電リスクを防ぐという意義があります。
■容量拠出金は誰が負担するのか?
容量市場において、発電事業者に支払われる資金(容量確保契約金)は、国から出ているわけではなく、小売電気事業者が負担する「容量拠出金」から出ています。
容量拠出金は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が、小売電気事業者に対して、市場シェアに応じて拠出金の支払いを義務付けています。
つまり、小売電気事業者にとって容量拠出金は、自社の努力では削減できない固定費であり、当然、自社の利益を削ってこれを負担することは不可能です。そのため「電気料金の一部」として、消費者に転嫁されることになります。
■2026年4月の引き上げ規模と企業への具体的影響
容量拠出金は、数年前に行われた容量市場のオークション結果に基づいて年々変動しますが、2026年度分が、前年度に比べて増加することが確定しています。
これにより、各電力会社は4月以降の契約更新や新たな料金メニューにおいて、基本料金や電力量料金の単価に増加分が転嫁される可能性が高くなっています。
4.今後の電気代の見通し
補助金の終了と容量拠出金の引き上げだけでも厳しい状況ですが、さらにリスクとなるのが中東情勢です。
結論から言えば、「今後の電気代が中長期的に大きく下がることは考えにくく、むしろ突発的な高騰リスクがある」ということです。
日本の電源構成は、依然として火力発電(LNG、石炭、石油)に大きく依存しており、特にLNGは、火力発電の主役として電力の根幹を支えていますが、その大部分を海外からの輸入に頼っています。現在、ホルムズ海峡が封鎖されるなど、資源の輸入に大きな影響が出ており、注視する必要があります。
また、それだけではなく、為替の影響も考えられます。
仮に、ある程度資源コストが落ち着いたとしても、円安が続けば燃料調整額が上昇し、電気代が高騰する可能性が高くなります。
5.電気を「創る」、「蓄える」対策を進めましょう
これまでお伝えしてきた通り、政府の補助金が終わり、容量拠出金の負担が増え、中東情勢による燃料費高騰リスクが高まっている状況において、どのような対策を講じるべきでしょうか。
「こまめに電気を消す」、「相見積もりで安い電力会社を探す」といった“その場しのぎ”では、太刀打ちできない状況になっています。
根本的には、電気をなるべく買わない(自家発電する等)方法を取り入れていく必要があるでしょう。
主な対策は以下の3点です。
■対策① エネルギーコストの可視化と契約の見直し
まずは、現状を正確に把握することが重要です。電気代のうち、「基本料金」、「電力量料金」、「燃料費調整額」、「再エネ賦課金」がそれぞれいくらなのか、月次・年次で可視化してみることをおすすめします。
その上で、電力会社との契約内容を見直します。
最近では、市場価格連動型プランと固定単価プランなど多くの電力メニューが存在しています。
自社の電力使用状況を分析し、電気の使い方に最も合う電力メニューへの切り替えを検討しましょう。
電力契約の見直しは、短期的には一定の効果が見込まれますが、中長期的に見れば、電力料金改定のリスクもあるため、注意が必要です。
■対策② 自家消費型太陽光発電の導入
投資対効果の高い対策として、工場の屋根や敷地内の空きスペースを活用した「自家消費型太陽光発電」の導入があります。
自家消費型太陽光発電の最大のメリットは、
「電力会社から電気を買う量(kWh)そのものを減らせる」ことです。
自社で創って自社で使った電気には、燃料費調整額も、再エネ賦課金も、容量拠出金も一切かかりません。外部要因に左右されずにコスト削減につながります。
■対策③ 産業用蓄電池の併設によるピークカット
太陽光発電だけではカバーしきれない夜間や雨天時の対策として、「産業用蓄電池」の導入も有効です。
電気代の基本料金は、過去1年間で最も電気を使った瞬間(最大需要電力・ピークデマンド)によって決まりますが、工場の稼働がピークに達する時間帯に、蓄電池から放電することで、このピークを抑え込む(ピークカットする)ことができます。
これにより、毎月の基本料金を大幅に引き下げることが可能です。
その他、産業用蓄電池は災害時の非常用電源としても機能します。
太陽光発電と同時に設置をする際には、国から補助金が用意されており、実質的な投資回収期間を短縮することができます。
弊社では、お客様の電力コスト削減にあたり、見える化・太陽光発電・産業用蓄電池のご提案をさせていただいております。
今後、どのような情勢となるか、不透明な部分もある中で、早めに対策を講じていくことを強くおすすめしております。
まずは、現状のヒアリングやシミュレーション作成を実施させていただき、お客様にとって最適なプランをご提案させていただきます。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
お読みいただきありがとうございました。