省エネ・創エネ.com Produced by Hasegawa Electric Industries.

column

コラム

コストダウン
再エネ賦課金が2023年度より値下げ!今年の単価は?

1.電気料金の構成

そもそも、電気料金がどのように設定されているか、皆さんご存知でしょうか。
電気料金は「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金」の大きく3つで構成されています。

計算式にすると以下のようになります。
電気料金(1か月)=基本料金+電力量料金単価×電力量使用量(1か月分)+電気使用量×再エネ賦課金単価(一律)

「基本料金」とは電力使用量に関係なく、電力会社に毎月支払う固定料金で、電力会社のプランによってこの金額は異なります。

「電力量料金」は電力量料金単価に1か月の使用電力量を掛けたものと、化石燃料の値段によって変動する「燃料調整単価」に1か月の使用電力量を掛けたものを合算して算出します。

「燃料調整単価」とは電気を発電する際に使用する石油や石炭、液化天然ガスなどの化石燃料の価格によって変動するものです。
昨今、ロシア・ウクライナ間の国際情勢の影響によって燃料価格が高騰しており、その影響を受けて燃料調整単価も高騰しています。

これらに「再エネ賦課金」を加えた額が毎月電気料金として請求されます。

2.再エネ賦課金とは

「再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下、再エネ賦課金)」とは、
「FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)」によって電力会社等が再エネの買取りに要した費用を、電気料金の一部として、国民が全員で負担する費用のことです。

「再エネ賦課金」の目的は、再生可能エネルギーを普及させ、日本のエネルギー自給率を向上させることです。
そもそも再生可能エネルギーが何かご説明いたします。
再生可能エネルギーとは以下のような特徴を持つエネルギーのことです。
・化石燃料以外のエネルギー
・永続的に使用可能
・場所に問われずエネルギーを得ることができる
・二酸化炭素を排出しない

具体的には太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどが挙げられます。

日本が再生可能エネルギーの普及に注力する理由は大きく2つあります。

①2050年カーボンニュートラル達成
菅前首相は2050年までにカーボンニュートラル達成することを目標に掲げました。
カーボンニュートラルとは二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量よりも、森林等の温室効果ガスの吸収量が上回っている、実質差し引きゼロになっている状態のことを表します。

温室効果ガスの排出量を削減し、この目標を達成するために国は再生可能エネルギーの普及に注力しています

②エネルギー自給率の向上
再エネの普及により化石燃料に対する依存度を下げ、日本のエネルギー自給率の向上を目指しています。
電気は人々の生活に必要不可欠であるため安定して供給される必要があります。
しかし日本は発電する際に必要な化石燃料の大半を国外からの輸入で賄っています。
輸入に頼ってしまうと突発的な外部的な要因によって日本の電気の供給が不安定になってしまいます。
実際、先述の通りロシアとウクライナによる国際情勢の影響によって世界的に化石燃料の供給が間に合わなくなり、化石燃料の価格が上がった結果、日本に住む我々需要家の電気料金が高騰することになりました。

再生可能エネルギーの普及によって日本のエネルギー自給率を向上することができれば、燃料価格が大きく変動した際にも電気料金を一定の幅で安定化することができます。

3.2023年の再エネ賦課金単価は?

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は、毎年度、経済産業省によって定められ、
毎年5月分から翌年の4月分の電気料金に適用されます。

以下のグラフのように再エネ賦課金は年々増加していましたが2023年度は値下げが行われました。

経済産業省発表資料より自社作成

2022年度には3.45円/ kWhまで値上がりしましたが、2023年は1.4円/ kWhとなっており、2012年の再エネ賦課金制度開始から初めて値下げされました。

原因はこちらもロシア・ウクライナ間の国際問題にあります。
再エネ賦課金とは電力会社が再生可能エネルギーで発電された電気を高値で買うために国民で負担する費用です。

再エネ賦課金は、主に年間の再エネの買取費用の推計から、それと同じだけの電力を市場価格で買い取った場合の費用を差し引いた差額によって決まります。
電力の市場価格が安くなると再エネ賦課金単価は上昇し、市場価格が高くなると再エネ賦課金単価が下がるするようになっています。

国際情勢の変化によって電力の市場価格が急上昇したため再エネ賦課金単価が下がる結果になりました。

今回初めて一時的に再エネ賦課金が値下げになりました。
しかしロシア・ウクライナ間の国際問題の解決の糸口が未だ見えないことから燃料調整単価は依然として高い水準にあり、今後の電気料金の動向もわかりません。

国際状況などによる電気料金の変動が企業経営に与える影響を少しでも減らすためには、電力会社から購入する電気の量を減ら取り組みが必要です。

その方法については以下の記事をご参照ください。

一覧ページへ戻る