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column

コラム

脱炭素
EV営業車と太陽光発電設備の導入による営業スタイルの革新と持続可能な事業運営

1.エネルギーコストと災害リスクへの備えが、企業の喫緊課題に

電気料金の上昇、燃料費の高止まり、そして自然災害の激甚化により、企業はエネルギーコスト削減と
BCP(事業継続計画)の両面から対策を求められています。

これらの課題を同時に解決する方法として、「太陽光発電設備による電力の自給自足」と「EV営業車へ
の転換」が注目されており、自社でエネルギーを「つくり、蓄え、使う」仕組みが全国的に広がりつつあります。

 

2.太陽光発電設備とEV営業車の導入による経済効果試算

この試算は、東京都内の中小企業をモデルとしています。

 

(1)導入設備
   太陽光発電設備・・・10kW
   EV営業車・・・・・2台
   V2H設備・・・・・1台
   EV充電器・・・・・1基

導入された太陽光発電設備は、1日あたり約36.0kWh(年間約13,140kWh)を発電し、事務所とEV営
業車で使用する電力の一部を自家消費することができます。

また、夜間や停電時はEV営業車からの逆給電により、事務所の照明や通信設備を稼働させるBCP対
策としても貢献できます。
※V2H設備とは電気自動車(EV営業車)の電気を事務所で使えるようにする装置です。

 

 

(2)ランニングコストの比較
このように多用途でメリットのあるEV営業車と太陽光発電設備の組み合わせですが、ランニングコストについて具体的な比較を見てみましょう。

<試算条件>
月間稼働日/21日、年間稼働日252日
※稼働日は、厚生労働省「就労条件総合調査」を参考にしております。

 

○営業車の走行コスト比較(年間)

※ガソリン単価は、資源エネルギー庁の東京都を参考としております。
※電力単価30円/kWhは、想定単価として使用しています。

 

上記のコスト比較から
ガソリン営業車からEV営業車への入れ替え → 年間約295,711円の削減
更に太陽光発電設備からの電力を活用し充電 → 年間約404,131円の削減
➀EV営業車と太陽光発電設備を組み合わせることで、年間約40万円の燃料費を削減することが可能となり、またEV営業車は自動車税や重量税の優遇措置もあり、他の維持費も低減します。

 

○事務所の電力コスト
中小企業白書によると従業員数5~19人の企業が、中小企業全体の約5割弱を占めており、その中央
値となる15人規模の事務所を例に試算を行いました。

15人規模の事務所では、1日あたりの使用電力量は約50kWhで、年間稼働日数を252日とすると年
間12,600kWhの電力を使用することが想定されます。太陽光発電設備においても、同様に年間稼働日数
を考慮し試算すると年間9,072kWhの電力を発電することになります。

そのうちEV営業車の充電に必要な年間3,614kWh(前述の表)を除くと、残りの5,458kWを事務所で自家消費することが可能となります。

従来通り、電力会社より電力を購入した場合
年間の電気料金=年間12,600kWh×30円/kWh=378,000円

これを
5,458kWhは太陽光発電設備で発電した電力で賄い、不足分をこれまで通り電力会社より購入すると
年間の電気料金=(12,600-5,458) kWh×30円/kWh =9,542kWh×30円/kWh=286,260円

① 年間約38万円の電気料金が、約29万円まで圧縮され年間約9万円の電気料金を削減となります。
※気象状況(曇りや雪等)によっては、電力の全量を賄えない場合もあります。

 

○合計コスト削減効果(①+②=経費削減の合計)
①EV営業車2台分の燃料費削減(40万円)と②事務所の電気料金削減(9万円)の合算で、年間約49万円の経費削減が見込まれます。

 

3.初期投資と活用できる補助金について

EV営業車+太陽光発電設備(持続可能なインフラ)を導入するには、設備投資が必要不可欠となり
ますが、補助金を活用することで導入費用を圧縮することができます。

 

今回のようなモデルでは、EV営業車2台の購入費(540万円)と10kWの太陽光発電設備、EV充電
器やV2H設備費用(600万円)を含めた概算費用は1,140万円程度が想定されます。

東京都や国の事業用補助を組み合わせ設備部分で最大約290万円、EV営業車購入部分で最大380万円
の補助を受けることができ、概算費用を約470万円まで圧縮することができます。

補助金を最大限活用し、年間49万円の経費削減効果を加味すると10年以内で投資回収を行うことがで
きます。
※総導入費用は目安であり、工事の仕様等により変更となります。

 

《活用できる補助金》

東京都
ZEV導入補助金(https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/03/2025033159)

経産省
CEV補助金(https://www.cev-pc.or.jp/)
※補助内容は年度により変更されるため、常に最新の情報をご確認頂くか、弊社までお問い合わせください。

上記以外にも都道府県、自治体から複数の補助事業があり、国の補助と併用可能なケースもあります。

 

4.災害時のBCP効果

従来のガソリン車は災害時、燃料供給や移動に限られますが、EV営業車+太陽光発電設備モデルで
は、「動く蓄電池」として事務所や他の施設にも給電が可能です。

照明・パソコン・通信設備を稼働させ、事業の継続と地域支援の両立が図れます。
これにより、「非常時にも電気も移動手段も自社で調達できる」持続可能なインフラが整います。
※災害時や停電時に29.6kWhバッテリー搭載EV営業車の電力を事務所の機器に使用した場合、PC(15台)、LED(20灯)、複合機、Wi-Fi及びネット機器、エアコン等を7時間程度使用可能。 

 

5.脱炭素・経費削減を実現する未来型企業モデル

EV営業車と太陽光発電設備の組み合わせは、すでに導入・運用を開始している企業も増加しており、
脱炭素経営・BCP対策として、もはや先進的な一部企業だけの取り組みではなく、中小企業でも十分に実現可能な脱炭素経営の手段となっています。

「ガソリン代・電気料金の削減」「災害時の事業継続」「SDGsによる企業価値向上」これらを同時に
できるモデルとして、導入された企業は着実に成果をあげています。

こうした経済性・BCP・企業価値向上といった多角的な効果に加えて、環境面でのインパクトにも注
目すべきです。中でも特筆すべきは、CO2の削減効果です。

今回のモデルでは、太陽光発電設備とEV営業車の導入によって、年間約10.7トンのCO2を削減 でき
試算となっており、これはガソリン車で約59,000㎞走行した際に排出されるCO2量に相当します。

中小企業に対しても、今後ますます脱炭素化社会への対応が求められ、CO2削減対策としてもこのよう
なモデルの導入の意義が高まっていくものと思われます。
※太陽光発電設備で年/5.8トン+EV営業車への入れ替えで年/4.9トン=年/10.7トンのCO2を削減

 

【私たちにできること】
弊社は、長年の電気・設備工事業で培った経験に最新の省エネ・再エネ技術を加え、最適な設備導入プ
ランのご提案から確実な施工・アフターサポートまでワンストップで対応致します。

未来型企業モデルを実現させ、脱炭素社会に向けた第一歩を踏み出しましょう。どんなことでも結構で
すのでお気軽にご相談ください。

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