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体育館や工場、イベントホールなどの大空間では、
「夏はとにかく暑い」、「冬は底冷えする」、「空調を入れても温度ムラが大きい」
といった悩みがよく聞かれます。
特に新潟県のような寒冷・積雪地域では、冬の寒さ対策は欠かせません。
しかし、従来の空調方式だけでは、十分な快適性をつくれないケースも少なくありません。
そんな課題に対して、近年注目されているのが “ふく射式冷暖房設備” です。
この記事では、その仕組みや特徴、そして実際の導入例をご紹介します。
1.ふく射式冷暖房設備とは?
一般的な空調は、エアコンの風(対流)によって空気を冷暖房する方式です。一方、ふく射式冷暖房は、床・壁・天井などの表面温度を調整し、そこからの熱のやり取りによって体感温度をコントロールします。
ポイントは、空気を無理に動かさず、人がいる空間を効率よく快適にできること。
温度ムラが少なく、自然で心地よい環境をつくれるのが大きな魅力です。
2.「ユカリラ」とは?
今回導入した「ユカリラ」は、床下構造を利用したふく射式冷暖房システムです。空調機からの冷温風を床下に送り込み、床そのものを冷暖房することで、室内全体を快適な環境に保ちます。
住宅やオフィスなど様々な空間に対応した導入システムがあり、今回は体育館への導入ということで、大空間向けに開発された「ユカリラ鋼製床組YGSシステム」を採用しています。この仕組みでは、冷温風を根太噴流口から床材の裏面へ吹き付け、床そのものを効率よく冷やしたり温めたりします。
空気を強制的に循環させないため、温度ムラが少なく、広い空間でも均一な温熱環境を実現できるのが特長です。
さらに、気流が少ないことでホコリやウイルスの拡散を抑えられるのも大きなメリット。
体育館や工場など、人が多く集まる場所でも安心して使える空調方式として注目されています。

ユカリラ鋼製床組YGSシステム図
ふく射による穏やかな冷暖房は、夏場の熱中症対策や冬場の足元冷えの解消にも効果的です。こうした省エネ性・快適性が評価され、「ユカリラ」は2020年度の省エネ大賞(省エネルギーセンター会長賞)を受賞しています。
3.導入事例のご紹介
本事例は、新潟県村上市の屋内遊び場(旧神納東小学校体育館)における導入事例です。既存の体育館を活用した施設であり、子どもたちが年間を通して快適に遊べる環境づくりを目的として空調設備の見直しが行われました。
従来の空調では、冬場は足元が冷え、夏場は上部に熱がこもるなど、大空間特有の課題がありました。そこで、床下構造を活用できる点に着目し、ユカリラの導入に至りました。
施工にあたっては、既存床の解体後、床下にユカリラの部材を設置し、新たな床構造を構築しました。床面の下地材には村上市産の杉材を使用するなど、地域資源の活用にも配慮しています。

床の構成材料を解体後(コンクリートの状態)

ユカリラの部材設置中

合板(下地材)の木材を貼り付け
導入後は、真冬でも裸足で活動できるほど足元の温熱環境が改善され、空間全体の温度ムラも大幅に低減されました。

現在の遊び場の様子
4.担当者・利用者様の声
施工を担当した技術者は、「新潟県内の体育館・アリーナ等における初の導入事例となり、大変貴重な経験となりました。利用者の方からも、真冬でも足元が暖かく快適に過ごせるとの声をいただき、手応えを感じています。今後は冷房時の効果にも期待しています」と話をしております。
また、利用者の方からも「子どもが体を動かすとちょうど良い室温で、安心して遊ばせることができる」「冬場でも快適に利用できる施設として非常にありがたい」といった評価をいただいています。

5.まとめ
ふく射式床冷暖房設備「ユカリラ」は、大空間における空調課題を解決する有効な手段の一つです。
温度ムラを抑えた空間を実現できる点は、体育館だけでなく工場・倉庫・公共施設などにおいても省エネルギー性や衛生面に優れており、大きなメリットとなります。
弊社では、こうした大空間や様々な建築物における空調の課題に対し、現地調査から設計、施工、メンテナンスまで一貫して対応しております。
工場・体育館・倉庫などの空調改善をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
今後も、省エネ・創エネに関する導入事例や最新の取り組みを、定期的にご紹介していく予定です。
空調環境の改善やエネルギー対策のヒントとして、ぜひ引き続きご覧いただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。