コラム
コンテンツ
「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、日本全国で再生可能エネルギーへの関心が高まっています。特に、導入のハードルが比較的低い太陽光発電は、多くの家庭や企業で検討されています。
しかし、日本有数の豪雪地帯である新潟県にお住まいの方にとって、太陽光発電の導入には大きな壁が立ちはだかります。
「屋根に積もった雪で、冬はまったく発電しないのでは?」
「雪の重みでパネルや建物が壊れないか?」
「結局、高いお金を払って元は取れるの?」
このような「雪」と「費用」に関するリアルな不安から、導入をためらっている方も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、雪国・新潟県でも、データを基に正しく計画し、適切な対策を講じれば、太陽光発電は十分に採算が取れ、多くのメリットを享受できます。
今回は、新潟県の太陽光発電のリアルな実情を、具体的な「事例」と「数字」を交えて分析。雪国ならではのデメリットを正直にお伝えした上で、それを克服し、経済的にも成功させるための具体的な方法を、余すところなく解説します。
1.【本音で解説】雪国・新潟のデメリットを「具体的な数字」で知る
①発電量低下:「実際、どれくらい発電しなくなるの?」
これは最も気になる点です。当然、パネルが雪に覆われれば発電量はゼロになります。では、年間トータルで見るとどうでしょうか。
資源エネルギー庁のデータなどを基にした試算では、東京の年間発電量を100%とした場合、新潟市の発電量は約85%となります。雪の影響を受けない春から秋にかけては遜色なく発電しますが、冬場の落ち込みが影響し、年間で15%程度の差が生まれる計算です。
太平洋側(例:東京)の年間発電量: 約1,200 kWh/kW
新潟県(平野部)の年間発電量: 約1,000〜1,100 kWh/kW
この「約15%の差」をどう捉えるか。これを悲観するのではなく、「この数値を前提として、採算が取れるように設計する」ことが、雪国で成功するための秘訣です。
②積雪荷重:「パネルは、どれくらいの雪に耐えられる?」
雪の重さによる破損リスクも、数字で把握することが重要です。
一般的なパネルの耐荷重: 多くの標準的なパネルは、2400Pa(パスカル)という圧力に耐えるよう設計されています。これは、1平方メートルあたり約244kgの重さに耐えることを意味し、積雪深に換算すると約1.2mが目安です。
豪雪地帯用パネルの耐荷重:一方、雪国向けに設計された高耐久パネルは、5400Pa(積雪深 約2.7m相当)や、中には8000Pa(積雪深 約4m相当)という強度を誇る製品も存在します。
2.なぜ今、新潟の企業が太陽光発電を導入すべきなのか?【3つの経営メリット】
企業が太陽光発電を導入するメリットは、売電収入ではありません。事業の根幹に関わる、より戦略的な3つのメリットが存在します。
メリット1:【コスト削減】高騰する電気料金の抜本的対策
最大のメリットは、購入する電力量を直接的に削減できます。
工場の屋根や遊休地に太陽光パネルを設置し、発電した電気を自社で消費(自家消費)することで、電力会社から購入する電力量を大幅に削減できます。
再エネ賦課金・燃料費調整額が不要です。
自家消費する電力には、電気料金に含まれる「再生可能エネルギー発電促進賦課金」や、価格変動の激しい「燃料費調整額」がかかりません。これは、将来にわたって電気料金の変動リスクを低減できることを意味します。
デマンド値を抑制できます。
夏場の昼間など、電力使用量が多いピーク時間帯に太陽光発電が稼働することで、最大デマンド(契約電力)を抑制し、電気の基本料金を引き下げる効果も期待できます。
メリット2:【企業価値向上】脱炭素経営の実現とブランディング
今や、企業の環境への取り組みは、金融機関からの融資や、顧客・取引先からの評価を左右する重要な指標です。
ESG経営・SDGsへの貢献。
太陽光発電の導入は、CO2排出量を削減し、気候変動対策に貢献する具体的なアクションです。これを対外的に発信することで、企業の環境姿勢を明確に示し、企業イメージとブランド価値を向上させます。
サプライチェーンからの要請に対応。
近年、大手企業を中心に、部品や原料を供給するサプライヤーに対しても脱炭素化を求める動きが加速しています。太陽光発電の導入は、こうした要請に応えるための強力な一手となります。
採用力の強化。
環境意識の高い優秀な人材、特に若い世代にとって、企業の環境への取り組みは就職先を選ぶ上で重要な要素です。脱炭素への取り組みは、採用活動における強力なアピールポイントとなり得ます。
メリット3:【BCP対策】停電リスクに備える非常用電源
豪雪や台風による停電は、事業継続を困難にし、データの損失など、甚大な被害をもたらします。
太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、停電時にも事業継続に必要な最低限の電力を確保できます。
生産ラインの一部稼働
サーバーや通信機器の保護
最低限の照明や防災設備の稼働
これにより、事業停止による機会損失を最小限に抑え、災害からの迅速な復旧を可能にする、実用的なBCP対策となります。
3.【導入モデル別】費用対効果と投資回収シミュレーション
ここが最も重要なポイントです。法人向けの具体的な導入モデルと、リアルな投資回収期間をシミュレーションします。
<前提条件>
場所: 新潟県内の工場(高圧電力契約)
システム容量: 50kW(工場の屋根に設置)
買電単価: 28円/kWh
自家消費率: 90%(発電した電気のほとんどを工場で消費)
導入モデル①・・・自己所有(補助金・税制優遇活用)
設置費用の目安(1kWあたり23万円と仮定)
23万円×50kW = 1,150万円
補助金の活用(例)
国や県の補助金制度を活用し、約200万円の補助を受けられたと仮定。
実質的な自己負担額
1,150万円 – 200万円 = 950万円
年間の電気代削減額
50kW×1,000kWh/kW(新潟の年間発電量) ×90%(自家消費率) ×28円/kWh = 年間 約126万円
投資回収期間(単純計算)
950万円(実質負担) ÷ 126万円(年間削減額) = 約7.5年
税制優遇による更なるメリット
「中小企業経営強化税制」を活用すれば、初年度に設備投資額を全額経費として計上(即時償却)できます。
仮に法人税率を30%とすると、950万円 × 30% = 約285万円の法人税が軽減され、実質的な投資回収期間はさらに短縮されます。
導入モデル②・・・PPAモデル(初期費用ゼロ)
概要: PPA事業者が屋根に無償で太陽光発電を設置。発電した電気を電力会社より安価な価格(例:22円/kWh)で購入。
メリット: 初期投資・メンテナンス費用が一切かからない。設備のオフバランス化が可能。
年間の電気代削減額(差額分)
(28円 – 22円) × 50,000kWh × 90% = 年間 約27万円
いかがでしたでしょうか?
新潟県の様な雪国においても、太陽光発電へのリスクなどを理解し、設置している企業も増加しています。
弊社でも、太陽光発電導入に関わる企画・設計・施工・メンテナンスを一貫して対応しております。
お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。