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1.太陽光発電設備の検討には事前のシミュレーションが重要
脱炭素社会への移行が加速する中、企業や家庭における太陽光発電設備の導入は、単なる環境貢献にとどまらず、電力コスト削減やエネルギー自立性を高めるための戦略的な投資として注目を集めています。
しかし、「どれくらい発電できるのか?」「本当に電気代は安くなるのか?」といった具体的な疑問から、検討の一歩を踏み出せずにいるお客様も少なくありません。
それらの疑問をシミュレーションにより確認することが重要です。
2.実際の太陽光発電シミュレーション
今回は、もし幕張メッセ(千葉県)に太陽光発電設備を設置したらどうなるのかを想定し、シミュレーションしてみました。
<想定条件>
設置場所:幕張メッセ 国際展示場 4-6ホールの屋根上
屋根形状:折板屋根
設置方法:自家消費型



太陽光発電シミュレーションでは、最初に太陽光パネルの設置イメージ図とその設備概要を記載しています。次に想定した太陽光発電設備がどの程度発電するのか、自家消費率、月別の発電量、CO2削減量、灯油タンク換算量や植樹本数に換算した場合を記載しています。
このシミュレーションでは約8年で投資回収が出来ることがわかり、ある程度の投資判断の参考になります。
しかし、このレベルの情報だけではあまり精緻な結果が出ているとは言えませんので、投資を検討する価値があると判断された場合は、更に詳細なシミュレーションが必要になります。
では、より詳細なシミュレーションのために、弊社がどのような点に注意しているかを解説いたします。
3.太陽光発電シミュレーションのポイント(設計での留意事項)
・屋根上割付時に離隔距離をとる
屋根上設置においての太陽光発電設備の導入検討の場合、JIS規格(JIS C 8955)や各メーカーの施工ガイドラインにおいて、『太陽光パネルと屋根の端との離隔距離は、長辺の1/10または2m以上を確保する』とされています。
ですが、設置後の定期点検において、屋根からの落下など事故を未然に防ぎ安全に点検作業を行いたいという点検業者の意向を考慮し、弊社では全周囲各3mの離隔を基準としてパネル割付を行っています。
・メンテナンスを考慮したパネル割付を行う
太陽光発電設備は導入後に定期的な点検報告が義務化されております。その際、点検業者が太陽光パネルを確認しやすいように、パネルの割付を2列ごとに間隔を空けております。このように設計することで、点検時だけでなく太陽光パネルの部分的な交換が発生した場合にも作業時間を短縮することができ、すぐに復旧することができます。
また、雪国エリアにおける野立ての場合は冬季間の除雪機による除雪作業がしやすいように架台の前後の間隔を考慮して設計しております。
・より高い経済効果を考えた設計を行う
太陽光発電設備により発電された電力を事務所や工場内で消費する割合を『自家消費率』といいます。自家消費率は、お客様から提供いただいたデマンドデータを基に計算しますが、弊社では自家消費率90%以上を目安として設計し、太陽光発電で発電した電気をムダなく消費できるようにしています。これにより、設備投資の経済性を上げています。
また、自家消費率90%未満の場合であっても、お客様の脱炭素への取組によるCO2排出量の削減効果などの意向を尊重し、相談しながら設計を行っています。
4.シミュレーションに必要な情報3つの情報
ここまで、太陽光発電シミュレーションの重要性や、弊社のシミュレーション(設計)におけるポイントについて解説しました。
次に、シミュレーションを作成するにあたり、必要となる重要な情報が3つありますので説明します。
・電気料金明細(直近1年分)
1つ目に、電気料金明細です。直近1年間の電気料金明細から平均の単価を割り出し、太陽光発電によって発電された電気によってどれだけ経済効果を見込めるのか算出します。
・電気使用量(直近1年分の30分デマンドデータ)
2つ目に、直近の電気使用量を確認します。太陽光発電で発電された電気をムダなく消費するために、1年間の電気の使用量を基に設計検討を行います。
その際に、直近1年分の30分デマンドデータをご共有いただくことで、より正確な設計検討を行うことが可能となります。
デマンドデータの取得については、ご契約いただいている電力会社へお問い合わせいただくか、委任状を基に弊社が取得することが可能ですのでご相談ください。
・設置場所情報
3つ目に設置場所の情報です。
同じ容量の太陽光パネルを並べたとしても、設置場所の状態のより発電量も工事費用も大きく変動します。
よって、設置場所の情報をなるべく集めることで、実際に導入する際の費用対効果を現実に近づけます。
具体的には、野立てか屋根上設置か、また設置可能面積、方角、海からの距離、発電を遮るような周辺の構造物(建物や樹木など)の有無などを確認します。
新潟のような雪国地域では、積雪量を確認し架台の高さや太陽光パネルの設置角度も検討しております。
また、太陽光パネルで発電した電気をどこで使用するのかについてもヒアリングし、接続先の電気室やキュービクルの位置及び最適な配線ルートを検討いたします。これによって、工事費が大幅に変わるケースもあります。
より精緻なシミュレーションを行うには、これらの他にも現地調査に基づいた詳細な情報が必要となります。
5.まとめ
私たちは、シミュレーションを通してお客様の投資イメージを明確にし、導入後によりご満足いただけるように心がけております。
そのために、シミュレーションもお客様の検討段階に応じて、より精度を上げるように情報収集を行いながら、設計を見直していきます。
そして、お客様に最適な設計を行い、信頼性の高いシミュレーションを提供します。
また、私たちのサービスはシミュレーションで終わりではありません。
工事計画から施工、そして長期にわたる運用支援まで、お客様の太陽光発電システムが常に最高のパフォーマンスを発揮できるよう、一貫したサポートを提供します。これにより、お客様は導入後も安心して太陽光発電を活用することができます。
太陽光発電をご検討しているお客様はぜひお気軽にお問い合わせください。
弊社では、太陽光発電設備をはじめ、省エネ・創エネに関する取り組みや有益な情報を定期的にご紹介いたしますので、ぜひご覧ください。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。