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創エネ・再エネ
【2023年最新】太陽光発電の売電価格と推移を解説

1.FIT制度(固定価格買取制度)とは

FIT(Feed-in Tariff)制度とは2012年より開始された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」のことです。
これは、太陽光や水力、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーで発電された電気を電力会社が一定の価格で一定期間、買い取る制度です。

FIT制度の導入には大きく2つの目的があります。

①再生可能エネルギーの普及によるエネルギー自給率の向上
日本の電気の多くは火力発電に頼っています。火力発電を行うためには石油や石炭、液化天然ガス(LNG)等の化石燃料を海外から輸入する必要があります。
エネルギー資源を海外からの輸入に依存しすぎてしまうと、国際情勢等の影響によって安定したエネルギーの供給ができない可能性があります。

実際に、世界屈指の化石燃料輸出国のロシア・ウクライナの戦争によって、世界的に化石燃料の価格が高騰しました。
その結果、発電のためのコストが増大し、我々消費者の電気代も高騰することとなりました。

再生可能エネルギーであれば発電時に燃料の調達が必要ありません。国際情勢に左右されることなく国内のエネルギーの供給を安定化させることができるため、FIT制度によって再生可能エネルギーの普及を図っています。

②温室効果ガスの排出量削減
日本では2050年までにカーボンニュートラル達成を目指すことが宣言されています。
カーボンニュートラル達成とは二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量よりも、森林等による温室効果ガスの吸収量が上回っている状態であることを指します。

先述した火力発電の場合、発電時に温室効果ガスの排出が伴いますが、再生可能エネルギーによる発電の場合、温室効果ガスが排出されないためカーボンニュートラル達成に大きく貢献することができます。

FIT制度により再生可能エネルギー導入のメリットを高めることによって、火力発電から再生可能エネルギーへの移行を進め、脱炭素化を目指しています。

2.【2023年】太陽光発電の固定買取価格

2023年の買取価格は以下のようになっています。

区分2023年度(FIT/FIP買取価格)2022年度(FIT/FIP買取価格)
10kW以上
50kW未満
10円/kWh11円/kWh
50kW以上
250kW未満
9.5円/kWh10円/kWh
250kW以上
500kW未満
FIT・FIPの選択制
FIT:入札制度による
FIP:9.5円/kWh
FIT・FIPの選択制
FIT:入札制度による
FIP:9.5円/kWh
500kW以上
1MW未満
FIPのみ:入札制度による

2023年は2022年から全体として0.5~1.0円/kWhほど買取価格が下がりました。

50kW以上250kW未満の区分は買取価格が9.5円/kWhとなり、とうとう10円/kWhを下回ってしまいました。

3.太陽光発電の固定買取価格の推移

2012年のFIT制度開始からの買取価格の推移を見てみましょう。

2012年のFIT制度開始以降、固定買取価格は年々下落しています。

10kW未満設備(家庭用太陽光発電)は設置規模が小さくなることから10kW以上50kWの区分と比較して買取価格が高くなります。
しかし2012年には発電区分が10kW未満で42円/kWhの買取価格であったものが2023年には16円/kWhになっております。11年で差額は26円/kWhにもなります。

10kW以上50kW未満(事業用太陽光発電)の場合、2012年では40円/kWhだったものが10円/kWhになっております。差額は30円/kWhとなっています。

買取価格は年々下落していますが、2023年の特徴として例年に比べて下落幅が小さいことが挙げられます。
10kW未満の区分では毎年2円/kWh以上の下落幅でしたが、2023年は1円/kWhの下落幅に落ち着きました。

下落幅が小さかった理由にはFIT制度普及の停滞、太陽光発電の導入目標が64GWから約120円GWに引き上げられたこと、買取価格の据え置きを求める意見が強くなったことなどが考えられます。

4.【2024年】太陽光発電の買取価格

2023年1月31日、経済産業省は2024年度のFIT制度の買取価格案を公表しました。
基本的には2023年度の価格と同じですが、10kW以上の屋根設置区分が新設され地上設置型よりも買取価格が高くなることが検討されています。

引用:経済産業省

初めて太陽光発電を設置する場所によって買取価格が変化することとなります。

2050年カーボンニュートラル達成に向けて現状の再生可能エネルギーの普及スピードでは目標の達成が困難であることが判明しています。
そのため買取価格を上げることによって再生可能エネルギーの普及をさらに加速させようとしていると考えられます。

5.買取価格下落の背景

FIT価格引き上げは2024年が初のことであります。
今後、2024年のように特別な条件で買取価格が上がる可能性もありますが、全体として買取価格は下落に向かうと考えられます。
年々太陽光発電の固定買取価格が下落している理由には、太陽光発電設備の導入コストの低減があります。

経済産業省は太陽光発電設備の導入費用に合わせてFIT制度による買取価格を取り決めています。
パネル等の設備の製造技術の向上や、生産量の増加、価格競争による製造コストの低下、さらには施工コストの低下によって、太陽光発電設備を導入する際に必要となるコストが年々削減され、それに伴い買取価格も下落しているのです。

買取価格が下落しているため、FIT制度が導入された当初に比べて、太陽光発電設備で発電した電気を売って上がる利益は小さくなっていると言えます。

6.自家消費型太陽光発電を検討してみては?

近年、太陽光発電設備で作った電気を売るのではなく、自宅や工場・オフィスなどの事業所で消費する「自家消費」として使用される方が増えています

国際情勢による燃料価格の上昇や再生可能エネルギーの普及に伴う再エネ賦課金の上昇によって電気代の高騰が社会問題となっています。

太陽光発電を自家消費で使用すれば、電力会社から購入する電気の量を減らし、電気代を削減することができます。

また、太陽光発電は電気料金の削減だけでなく、CO2削減による企業価値の向上や、災害時の非常用電源として活用できるというメリットがあります。

7.補助金を活用して太陽光発電設備をお得に導入

国や各自治体から太陽光発電の導入の際に使用できる補助金が公募されています。

8.まとめ

2023年のFIT価格は10kW未満で16円/kWh、10kW以上50kW未満で10円/kWhになっております。

全体として0.5~1.0円/kWhほど買取価格が下がりました。

年々買取価格が下がっていることから売電収益によるメリットは小さくなっています。

つくった電気は売るよりも自分で消費する方が金銭的メリットは大きくなっています。

急激に高騰する電気代の対策として自家消費型太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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